〜静岡市ものづくり教育推進事業〜
 “静岡”と“プラモデル”について学ぶ「ミニ四駆」体験授業

ミニ四駆の取材班が授業に潜入!

2018年より、市内の小学校を対象にプラモデルを授業に取り入れた「ものづくり教育推進事業」が静岡市によって実施されています。静岡のプラモデルメーカーの担当者と、静岡大学教育学部の先生や学生が講師となり、各小学校を訪れて出張授業を行いました。今回はその中でも「ミニ四駆」体験授業に潜入取材!ここではその様子をレポートします。

「ものづくり教育推進事業」とは?

静岡市はプラモデルメーカーが集積するプラモデル出荷額が全国No.1のまちで「模型の世界首都」と呼ばれています。毎年5月に開催されている「静岡ホビーショー」では国内外から多くのファンが静岡市を訪れ、まち全体に大きな賑わいが生まれます。市ではシティプロモーションとして「ホビーのまち静岡」を推進しており、市内にはホビー関連の施設も充実しています。そのような中で、静岡市の資源を活用した静岡市ならではの教育を実施していく「ものづくり教育推進事業」がスタートし、静岡というまちならではのプラモデルを活用した「ものづくり教育」が小学校で実施されています。さらに2019年には「静岡ホビーショー」に小中高生招待日が初めて設けられ、ものづくりの面白さを子どもたちに伝えていく活動も始まり、活動の幅が大きく広がっています。

模型メーカーが集積する“模型の世界首都・静岡”

 

静岡には多くの模型メーカーが位置していますが、各メーカーごとの特色も様々です。どのような製品があるのか、また、どのような歴史があるのか、はたまた静岡の歴史とどのような関わりを持っているのかなど、色々な観点からそれぞれを比べてみるのも面白いでしょう。静岡のホビー製品や各メーカーについてさらに詳しく知りたい場合は、ホビーの情報発信基地として誕生した全国初の模型専門・常設展示場「静岡ホビースクエア」がおススメ。静岡を訪れた際はぜひチェックしてみましょう。

〈 出典:模型の世界首都・静岡パンフレット日本語版より(平成30年度版) 〉

青島文化教材社 | ウッディジョー | シモムラアレック | アスカモデル | エムエムピー | SWEET | タミヤ | BANDAI SPIRITS | プラッツ | ハセガワ | フジミ模型 | ラウペンモデル |

静岡市「ものづくり教育推進事業」の概要

【目的】
・プラモデルの工作体験を通じて子どもたちが「ものづくり」の楽しさや面白さを味わうことで、子ども世代にプラモデルづくりの楽しさや魅力を伝えていくとともに、ものづくり教育の一助とする。
・静岡市が世界に誇るプラモデル産業について、歴史と文化をふまえ、理解、認識してもらうことで静岡市を誇りに思う心を醸成する。(※しずおか学(※1)の実践的体験)
(※1:地域や静岡市に愛着と誇りを持つ静岡市民を育てるとともに広く社会や世界に目を向けて、その発展に寄与する人材の育成を目指す、郷土を舞台にした学習)



【概要】
・静岡市内の小学校を対象に「静岡とプラモデルの歴史」、「プラモデルメーカーの仕事」等についての座学およびプラモデル工作体験を実施する。

【対象】
・静岡市内の小学校に通う概ね小学4〜6年生

【教科】
・総合的な学習の時間・社会

【講師】
・静岡大学教授・学生、プラモデルメーカー社員

【内容】
 1:座学(静岡とプラモデルの歴史、プラモデルメーカーの仕事)質疑応答
 2:プラモデルの工作体験
 3:その他(ミニ四駆はレース)

【2019年の日程】

11月6日(水) 安西小学校4年生:青島文化教材社 1/32 ザ・スナップキット
11月7日(木) 竜南小学校 6年生:タミヤ ミニ四駆
11月27日(水) 森下小学校 4年生:タミヤ ミニ四駆
11月28日(木) 梅ヶ島小中学校 3〜6年生:青島文化教材社 1/32 ザ・スナップキット
12月4日(水) 大谷小学校 3年生:BANDAI SRIRITS   HG RX78-2 ガンダム
12月18日(水) 西奈小学校 4年生:ハセガワ  1/35 メカトロウィーゴ
1月22日(水) 有度第一小学校 4年生:青島文化教材社 1/32 ザ・スナップキット
1月29日(水) 静岡大学教育学部附属静岡小学校 6年生 ハセガワ 1/35 メカトロウィーゴ
2月13日(木) 千代田東小学校 4年生:BANDAI SRIRITS  HG RX78-2 ガンダム

授業の「ミニ四駆」プログラムについて

「ミニ四駆」体験授業は、1時限目に4回のプログラムに分けプラモデルに関する座学を、2〜4限目は「ミニ四駆製作体験」のプログラム4つが行われました。


「ミニ四駆」体験授業の様子(1時限目)

  • 【静岡の模型産業について】はじめに静岡大学教育学部の芳賀教授から、静岡の地場産業における模型の位置づけや歴史についての解説が行われました。

  • 【プラモデル会社の仕事】タミヤの社員から、実際のオートバイのスケールモデル製品を題材に、製品企画から楽しむためのユーザーイベントなどを紹介

  • 【ミニ四駆が生まれるまで】授業で組み立てる「ミニ四駆」のこれまでの歴史と製品ができるまでをレクチャーし、さらに理解を深めました。

  • 【質疑応答】座学の後に、児童さんの様々な質問に芳賀教授とタミヤ社員がお答えしました。

「ミニ四駆」体験授業の様子(2〜4時限目)

  • 【プラモデルづくりの基本】2限目からは、実際に「ミニ四駆の工作体験」がスタート。はじめに組み立て説明図の見方や工具の使い方などをタミヤ社員が解説。

  • 【ミニ四駆を作ろう】説明の後はミニ四駆製作に入ります。わからない場合には講師がサポート。児童同士で教えあう光景も数多く見られました。

  • 【ミニ四駆を走らせよう】完成したミニ四駆が実際に走るかどうかコースでテスト。自分で作ったマシンが走る様子を見て、多くの歓声があがりました。

  • 【ミニ四駆レース】最後はミニ四駆で競走。勝っても負けても自分の仲間を応援する声が途切れない白熱の展開で、レースは大盛況となりました。

授業を担当した芳賀先生に聞いてみました

〈 静岡ホビースクエアで開催されたミニ四駆体験講座の様子 〉


── 1 : 芳賀先生は静岡大学にてどのような研究や授業を行なっていますか?

 二十年ぐらい前から、大正デモクラシーを背景とする児童文化を追求しながら、大正期に起こった芸術教育運動と芸術家の実践を明らかにする研究に取り組んできました。この十年ほどは静岡の模型産業の歴史やプラモデルを中心としたホビーの研究、さらに、模型・プラモデルを活かした地域活性化のための様々な活動に取り組んでいます。2018年からスタートしたものづくり教育推進事業では、静岡市が誇れるプラモデルを活用し、プラモデルづくりの体験を通じて、「ものづくり」の楽しさや面白さに気づくことを大切にしながら社会科や総合学習などの授業に取り組んでいます。

   

── 2 : ミニ四駆を使って授業を始めるきっかけは?

 2017年の春に、静岡ホビースクエアで行われた「しずおかキッズアカデミー」(主催:静岡銀行)がきっかけだったと思います。このイベントは子どもたちに故郷の魅力を知ってもらうというもので、約260人で、静岡市の代表的なプラモデル、ミニ四駆を作りました。そのときの子どもたちの反応や様子から、いつかは普通の授業でも実施したいと考えていました。

   

── 3 : ミニ四駆で作ったり遊んだりした経験はありますか?

 二十代の頃にもなりますが、ミニ四駆が子どもたちの間で流行り、町中のどの子も手にしていて、「凄いなぁー」と感じたことがありました。ただ、子どもが作って走らせて楽しむプラモデルというイメージが強くあり、そのためか、大人の自分が触れることに抵抗を感じていました。しかし、「なぜ、こんなに子どもたちが夢中になるのだろうか」という素朴な疑問を持っていて、興味があり、いつかは自分も作って走らせてみたいと思い続けていました。15年ぐらい前の話になりますが、ミニ四駆を趣味にしようと思ったら、その頃はあまり流行っていなくて・・・諦めていたころ、ショップにミニ四駆が並び始めて嬉しかったです。ほとんど触れたことのなかっただけに、子どもと一緒に作って遊んだりして、その時間が楽しかったです。子どもがレースにも出たりするとき、速度重視のモーターに変えたり、それですぐにコースアウトして、また次のレースではモーターを取り換えてみたりと・・・。

   

── 4 : 実際に授業を行なってみて、感想や気づいた点などはありますか?

 四年生の授業が多いのですが、どの子も目を輝かせて、夢中になってミニ四駆を作ります。表情は真剣そのものです。ただ、ニッパーやドライバーを初めて持つ子どもも多く、特にローラーをドライバーで取り付けるには、どの子も苦戦していました。不器用というよりは、日常の中で工具類を使う機会もなく、経験が少ないのだと感じました。また、昔の子どもに比べて説明書(絵と文)を読み取る力が弱いなぁーと思いました。モーターや電池を入れるところのパーツ、タイヤの向きなどはよく間違えていて、まったく説明書を見ないで作る子も結構いたので、ちょっと驚きましたが・・・。自分の手で何かを作り出すことが減ってきているのだと思いますが、設計図を読み解く力、手を動かして形にする力、上手く行かなかったことを解決する力など、ミニ四駆ではこうした総合的な力が養われると感じたところです。

   

── 5: 参加した児童の反応や感想は?

 機会さえあれば、もっとミニ四駆にはまっていく子は多いと思います。自分が組み立てたミニ四駆が走ったときは、もの凄いテンションの高さで、どの子も、「こんな面白いものは他にないよ」、「一番楽しい授業だ」と話してくれました。最後には体育館に設置したミニ四駆コースでレースを行いましたが、とても盛り上がりました。おそらくこのような経験は、なかなか味わえないと思います。ミニ四駆は完成して終わりではなく、改造して走行性能を高めたり、オリジナルデザインで仕上げたり、作る面白さがいっぱいです。想像が広がっていく楽しさや魅力がありますね。

   

── 6: 今後の活動についてお教えください。

 昔は公園やお店の前で、よく子どもたちはプラモデルを組み立てて遊んでいました。今の時代、そのような光景はあまり見られなくなりましたが、プラモデルが日常的な子どもたちの遊びになって欲しいですね。四十代、五十代はプラモデル世代が多いようです。大人がプラモデルを好きなのは、子どものときに楽しい経験をしたからではないでしょか。子どものときの楽しさは一生忘れることはないと思います。
この後も一歩一歩を大切にしながら実践を積み重ね、地道に活動を続けていきます。まずは静岡の子どもたちにミニ四駆の楽しさを伝えたいです。静岡駅に近い静岡ホビースクエアにはミニ四駆のコースが設置してありますので、そこで友達と一緒に走らせることもできます。子どもたちの共通の遊びになれば、それが他の地域やYouTubeを通じて海外の子どもたちにも影響を与えるかもしれません。

   

── 7: プロレスのファンであるとお聞きしましたが?

 100年に一人のミニ四駆レーサー、棚橋弘至選手のファンです。棚橋選手が自らプロデュースしたミニ四駆のマシンは最高です。入場用の衣装やリングコスチュームに合わせたデザインが素敵で、黒をベースにフロントには「ACE」、リアウイングには「High Fly Flow」の文字が入っているので、とても気にいっています。棚橋選手には他の選手のマシンも、ぜひプロデュースして頂きたいです。また、昔からマスクマンが好きなので、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのメンバーで活躍されているBUSHI選手を応援しています。浜松市在住のマスク職人、PUKUPUKU工房の神谷淳さんがBUSHI選手のマスクを手がけていて、三年前に大学とコラボし、そのマスクをBUSHI選手に被って頂いたりもしました。ファンとしては、新日本プロレスのライオンマークに、各レスラーのコスチュームやマスクのデザインをコラボさせたシリーズものが発売されると嬉しいです。獣神サンダー・ライガー選手のマシンはどうでしょうか?

   

〈 ↑棚橋選手と学研超速ガイドのコラボ企画 限定ミニ四駆・ホーネットJr.

──今回は、授業の見学、興味深いお話をどうもありがとうございました!

皆様の周りでもミニ四駆が授業で活用されていたり、また違った切り口で使われているという事例がありましたら、以下のフォームから是非、詳細をお教えください。ミニ四駆の世界がさらに広がる、様々な事例をまた改めてご紹介させていただきたいと思います。

ミニ四駆を使った授業の事例集

1:静岡聖光学院中学校・高等学校 編

作って楽しい、遊んで楽しいのがミニ四駆の魅力のひとつ。 実はそんなホビーとしての楽しみ方以外にもミニ四駆は様々な場面で活躍しています。 先日、タミヤ本社のある静岡市の中学校で「ミニ四駆」をテーマにした授業を行なっているとの噂を耳にして、実際にミニ四駆・取材班が授業を見学してきました。ここでは、担当した先生に直接お話を伺って、学校で行われたミニ四駆の授業を紹介します。