〜様々な場所でミニ四駆が活躍〜
 「ミニ四駆」が中学校の授業のテーマに

実際にミニ四駆・取材班が
授業を見学!

作って楽しい、遊んで楽しいのがミニ四駆の魅力のひとつ。 実はそんなホビーとしての楽しみ方以外にもミニ四駆は様々な場面で活躍しています。 先日、タミヤ本社のある静岡市の中学校で「ミニ四駆」をテーマにした授業を行なっているとの噂を耳にして、実際にミニ四駆・取材班が授業を見学してきました。ここでは、担当した先生に直接お話を伺って、学校で行われたミニ四駆の授業を紹介します。 今後も色々な学校で「ミニ四駆」が活用される機会がいっそう増えるかもしれませんね。

授業が行われたのは、
静岡市の「静岡聖光学院中学校・高等学校」

ミニ四駆を題材にして授業が行なわれたのは、駿河湾と静岡市街を見下ろす小高い丘にある「静岡聖光学院中学校・高等学校」。 キリスト教の教育理念に基づく6ヵ年一貫の男子校のミッションスクールで、創立50年を超える長い歴史を持つ学校です。 左の方が今回の授業を企画して担当された田代正樹先生。 先生自身もかつてミニ四駆やRCカーで遊んでいたとの事ですが、遊び心をお持ちでいながらも非常に熱心に教育や授業に取り組んでいます。 今回は、田代先生が担当する中学1年生の国語の授業で「ミニ四駆」が題材として使用されました。

  • 【校舎外観】すばらしい景色を前に読書できるカルチャーラボ(図書室)や、ものづくりのためのクリエィティブラボなど教育施設が充実しています。

  • 【校舎からの展望】静岡市街が見渡せる高台にあり、(タミヤ本社も左手にかすかに見えます)右手に見える校内聖堂で月に1度ミサが行われています。

国語の授業の「ミニ四駆」プログラムについて

ミニ四駆の授業は、中学1年生を対象に5回のプログラムに分けて1グループ・3名で行われました。

●プログラム 1〜2では、まずミニ四駆とはどんなものか、実際に手で触って理解を深めつつ、過去から現在を比較して学ぶ段階、

●プログラム 3〜4では、テーマを元にグループ内でディスカッションしながらアイデアを形にしていく過程、

●プログラム 5では、グループでのアイデアをまとめあげて、プレゼンテーションが行われました。

プレゼンテーションの授業の様子

プレゼンテーションの授業では、各グループごとにスライドを使って4つの各項目について説明しながら発表が行われました。

1:「私たちが考えた人を感動させるマシンとは?」
2:「このマシンで伝えたいメッセージ」
3:「そう考えた理由」
4:「マシンのデザイン」

どのグループも色々な意見を集約してアイデアを1つにまとめあげ、プレゼンテーションで結果に至った考えのプロセスを丁寧に説明していました。 また、プレゼンテーションの後には生徒さんの間で様々な質問や意見が飛び交い、議論がかわされる活気のある授業展開へ。中には自前のタブレット端末でプレゼンテーションを作成しているグループもいて、とても驚きました。

プレゼンテーションで発表されたミニ四駆(一部)

  • 1:SP・GANBA
    2:患者に励ましや頑張る気持ちを届けたい
    3:病院で苦しんでいる人たちに頑張って
       病気を治そうと思う気持ちを届け、
       また1から人生を歩んでいって欲しいから。

  • 1:難民の子供に1つの助けを
    2:学校に行きたくても行けない子どもに
       井戸を届けたい
    3:行けない子どもの大半の理由が、生活用水を
       確保するために時間がかかり、
       学校に行く時間がないという理由。

  • 1:世界に技術や工作の楽しさを
    2:アフリカの子供に技術や工作の
       楽しさを届けたい
    3:小学生たちに技術で楽しませたいから。

  • 1:弱みに勝利!
    2:障害のある方を応援する気持ちを届けたい
    3:マイナス思考ではなく、名前の通り
     「弱みに勝利」でミニ四駆で
       プラスにするという理由。

  • 1:エコ四駆・RCシャーシ
    2:人々に環境保護をしようという思いを
       届けたい
    3:プラスチック削減が近年進んでいるので、
       ミニ四駆ならみんなに伝えらえれる

  • 1:プレジャーマシン
    2:障害のある方に感動と喜びを届けたい
    3:このミニ四駆を通して、感動を与え
       喜んでもらいたいから。

  • 1:ワールド・トップ
    2:オリンピックに関わる人に協力金を届けたい
    3:このミニ四駆の売上をオリンピックを
       運営するためのお金にし、より良い
       オリンピックにしてもらう

担当の田代先生に色々聞いてみました


── 1 : ミニ四駆を使って授業を始めるきっかけは?

本校が参加させていただいた2019年の静岡ホビーショー(※1)に、私も見学に行かせていただきました。 その際に本校の生徒たちが、私が思っていたよりもプラモデルに接した経験がないように感じました。 最近ではSTEAM教育やクリエイティブラーニングという言葉が教育界でも言われておりますが、 そうした本格的な学びの入り口にプラモデルがあれば、もっと子供たちの興味関心を喚起できるのではないかと思ったのが授業のきっかけです。

※1:初めて開催された静岡ホビーショーの「小・中・高校生招待日」には静岡県内の小学生3,000人、中学生800人、高校生1,400人、合計5,200人の生徒さんが来場されました。参加校の中から静岡聖光学院中学校の皆様には静岡ホビーショーのボランティアスタッフとして応援して頂いた経緯があります。

    

── 2 : ミニ四駆で作ったり遊んだりした経験は?

はい。小学生のときにミニ四駆を購入し、複数台持っていました。 また、そこから興味がRCカーに行き、こちらも小学生のときに購入し、友人と遊んでいました。 友人のお父さんがRCに興味のある方でしたので、いろいろと教えてもらい、作りながら、どうしたらもっと早くなるか、 どうしたらもっとかっこよくなるか、そんなことを考えていた思い出があります。

   

── 3 : 実際に授業を行なってみて、感想や気づいた点などはありますか?

・説明書の読解に苦労している生徒が多いように感じました。

・「どの順番で何をどうすればいいか」がかなり明確でないと理解できない生徒もおり、 一言で言うと「慣れていない」からだと思いますが、説明書全体を俯瞰する能力が苦手な傾向がありました。

・「昔の説明書と現在の説明書を比較させ、どこがどう違うか、その違いはなぜだと思うか、想像してまとめる」ということをやりましたが、できる生徒とできない生徒にわかれました。 説明図を読み解くことは知識や問題を解くことよりも、考える力や想像・創造する力がより必要だと思いますが、 それらが得意な生徒はあきらかにおりますので、 そこを伸ばしていくことが私の授業のテーマでもあります。

   

── 4 : プレゼンテーションでは、生徒さんの反応が非常に良く、色々な質問や意見が飛び交っていたのにとても驚きました。このような質疑応答やコミュニケーションをとりながらいつも授業が行われているのですか?

私の授業は国語なのですが、そのようにしています。 いわゆる、文章読解や漢字や知識を学ぶ授業は国語1の担当に任せておりまして、 私の担当している国語2のゴールは以下の4項目です。

1:「考えることはなにか」について考える。

2:「言葉を使って表現すること」を鍛える。

3:「効果的なプレゼンテーション」について鍛える。

4:「当たり前のことを疑う姿勢」を学ぶ。

2、3の項目については、授業や訓練を重ねて向上すると思っておりますので、 今回の授業も含めて生徒の 能力が多少なりとも向上してきているのかもしれません。

   

── 5: 授業が終了した後に生徒さんから授業への反応や感想がありましたか?

「面白かった」「ミニ四駆を国語の授業で扱うといったときには何をやるんだ?と思ったが、 最終的に国語らしくなってよかった」、「新しい商品を考えることがとても難しいことがわかった」、「パソコンで発表したかった」などの多くの意見がありました。

   

── 6: 「静岡ホビーショー2019」の小中高生招待日には、タミヤブースのミニ四駆工作教室で生徒さんにお手伝いいただきましたが、 生徒さんの反応はありましたでしょうか?

プラモデルを知らない生徒が静岡ホビーショーへの参加をきっかけに興味を持ったようです。 現在、中学1年生でミニ四駆が流行っていると生徒から聞きましたが、ホビーショーへの参加や私の授業がきっかけとなったようです。 同時に、子どもたちの中でミニ四駆やプラモデルは、ちょっとマニアックで敷居が高いイメージがあったようですが、 今回の授業後にその子たちのクラスでの存在意義が高まりながらも、ハードルが下がったように見受けられます。

   

── 7: ミニ四駆の他にもRCカーでも授業が行われましたね。

はい。私以外の教員がRCカーを使って授業を行いました。 私自身はSTEM教材にも興味があります。今後プログラミングが授業の中での必修科目になっていくため、どんなものになるのか試してみたいとも思っています。

──今回は、授業の見学、興味深いお話をどうもありがとうございました!

「ミニ四駆」がレーシングホビーという枠を超えて、皆様に楽しんで学べていただけている事は非常に嬉しい事です。皆様の周りでもミニ四駆が授業で活用されていたり、また違った切り口で使われているという事例がありましたら、以下のフォームから是非、詳細をお教えください。ミニ四駆の世界がさらに広がる、様々な事例をまた改めてご紹介させていただきたいと思います。