【 恐竜王国・福井県で見つかった日本の恐竜フクイラプトル、フクイサウルスを詳しく解説!】
このページでは「タミヤ クリックロック 1/35 恐竜シリーズ」で模型化した「フクイラプトル」「フクイサウルス(2026年発売予定)」の「本物」について解説します。この2匹は恐竜化石の発掘と研究が盛んな日本の福井県勝山市の同じ地層から化石が発見されました。それぞれの体の特徴やどんな自然環境で生きていたのか?肉食恐竜と草食恐竜という関係で「捕食者」と「獲物」という戦いをしていたのか? 化石の発掘や研究を行う際に大切な事は?といった疑問を恐竜研究の専門家が説明いたします。1億2000万年前という遥か太古の生命のドラマ。そして今も多くの謎につつまれた恐竜たちの姿をイメージしながら、模型製作による恐竜研究を楽しんでください。
解説:
福井県立大学恐竜学部准教授 服部創紀
福井県立大学恐竜学部准教授 今井拓哉
協力:
株式会社恐竜総研
※下記の 「Q.フクイラプトル、フクイサウルスはどんな恐竜ですか?」などの質問項目をクリックするとそれぞれの解説文が表示されます。
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フクイラプトル、フクイサウルスはどんな恐竜ですか?
フクイラプトルは二足歩行性の肉食恐竜で、大きな頭、長い後肢、長い尾を持ちます。命名の際に基準となった化石は、全長約4.7 m、体重約175 kgの個体のものと推定されています。ただし、この個体は背骨のパーツが癒合していないことなどから、まだ成長途中の段階だったと考えられています。恐竜の寿命は主に骨の断面に見られる年輪状の構造から推定されます。フクイラプトルではまだ調べられていませんが、比較的近縁な種類だと30歳前後と想定されています。
フクイサウルスは成体で全長5.2mに達する中型の草食恐竜でした。比較的長い後肢をもち、主に二足歩行でしたが、前肢を補助的に使って四足歩行をすることもあったようです。顎の先端のクチバシと、発達した歯を使って効率的に当時のシダ類などを食べていました。
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フクイラプトル、フクイサウルスという名前にはどのような由来があるのでしょうか?
フクイラプトルの学名は「フクイラプトル・キタダニエンシス」です。日本で初めて新種として学名が与えられた恐竜で、2000年に命名されました。属名のフクイラプトルは、化石が見つかった場所である福井県にちなんで「福井の捕食者」を意味し、種小名のキタダニエンシスは、化石が見つかった地層である手取層群北谷層にちなんで「北谷層産」を意味します。フクイサウルスの学名は「フクイサウルス・テトリエンシス」です。2003年に命名され、日本では二番目に新種として記載された恐竜となりました。テトリエンシスのテトリは、フクイサウルスの化石が発見された手取層群(てとりそうぐん)から由来しており、学名は「手取層群産の福井のトカゲ」といった意味になります。
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この2頭は、いつごろ、どんな場所で生きていたのでしょうか?。他に同じ時代に生きていた恐竜はいるのでしょうか?
両者は前期白亜紀と呼ばれる時代(約1億2000万年前)のアジア大陸の東沿岸地域(現在の日本列島)に生息していました。フクイラプトル、フクイサウルスが発見された地層からは、フクイティタン、フクイベナートル、コシサウルス、ティラノミムスといった恐竜の化石も発見されており、これら6種は同じ時代、同じ場所に暮らしていたと考えられます。
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フクイラプトルと同じメガラプトル類の恐竜は海外でも発見されていますが、なぜ日本(福井県)に生息していたのでしょう? (同種類の恐竜は世界各地に生息していた?)
フクイラプトルを含む初期のメガラプトル類は東南〜東アジアを中心に分布していたことがわかっています。当時は日本もアジア大陸の一部だったため、日本にも生息していたのだと考えられます。そのすぐ後の時代・後期白亜紀に生息した、より進化したメガラプトル類の化石は主に南米やオーストラリアで見つかっていることから、恐竜の生息地域が東南〜東アジアから南半球へと急速に拡がっていったと考えられます。フクイサウルスを含むイグアノドン類と呼ばれる恐竜の起源は北米やヨーロッパと考えられており、まだ詳細はわかっていません。何億年もの地球の歴史の中で、大陸の形がどのように変化したのか調べてみるのも面白いでしょう。
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日本に生息していた恐竜に特有の特徴などはあるのでしょうか?
日本にも様々な時代に様々な種類の恐竜が生息していたため、全てに共通するような特徴はありません。
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恐竜が生きていた時代の日本はどのような自然環境だったのでしょうか?
フクイラプトルやフクイサウルスが暮らしていた約1億2000万年前の日本周辺は、蛇行河川や湖沼が広がる低地の河川地域でした。当時は今よりも年間平均気温が数度高く、シダ類やソテツ類、針葉樹類といった植物が豊富にみられました。シダ類やソテツ類は現在の地球上でも熱帯や亜熱帯などの温暖な地域に植生しており、恐竜の時代から存在する生きた化石とも言える植物です。
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この時代は暑い時期や寒い時期など、季節の変化はあったのでしょうか?
約1億2000万年前の日本周辺には、雨季と乾季の二季が見られましたが、今のように四季はありませんでした。また、雪が降るほど寒くなることはありませんでした。
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肉食恐竜のフクイラプトルはどんな物を食べていたのでしょう? フクイサウルスなど他の恐竜を餌として捕食していたのでしょうか?
もちろんフクイサウルスを捕食していた可能性はありますが、確実な証拠は見つかっていません。自分より大きい獲物を捕食していた可能性ももちろんありますが、その場合は集団で狩りをするなど、工夫が必要だったと思われます。襲われる側は、速く走る、群れを作るなどして逃れる能力を向上させる、体を大きくすることで襲われにくくする、等の適応で身を守っていたと考えられます。
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フクイサウルス(草食)はどんな植物を食べていたのでしょうか?
正確なことはわかりません。フクイサウルスの化石と一緒に、シダ類やソテツ類、針葉樹類の化石も見つかることから、これらの植物を食べていた可能性が高いです。顎の先端で植物を摘み取り、口の奥ですり潰してから飲み込んでいたため、肉食恐竜とは顎や歯の形が大きく異なります。
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肉食恐竜と草食恐竜で体のつくりが違う部分はありますか?
体のつくりが違う部分は多く、特に顎や歯の形は食性によって様々です。フクイラプトルの歯は横方向からつぶされたように扁平で、後方にカーブして先端が尖っており、ナイフのような形状をしています。また、顎関節は歯列の後方に位置し、口を大きく開けるようになっています。フクイサウルスの歯は対照的に厚く、先端には上下の歯で噛み合うための面が発達します。また、顎関節は歯列よりも下に位置し、フクイラプトルに比べて歯列全体に均等な力を加え、植物をすり潰しやすいようになっています。
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恐竜は卵から産まれるのでしょうか?一度に複数産まれたり「子育て」をしていたのでしょうか?
恐竜は一度に複数の卵を産みました。一度に産む卵の数や、子育ての有無については恐竜の種によって大きく違います。
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恐竜は群れ(集団)で行動していたのでしょう?
恐竜の種によって群れで行動していたものとそうでないものがいました。フクイラプトルやフクイサウルスでは、群れを作っていた証拠は今のところ見つかっていません。ただし一部の肉食恐竜では、群れで行動していた可能性を示す足跡化石も見つかっています。
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恐竜がどんな「色」だったかは今も正解がわかりません。体表に羽毛が生えていた種類もいたと言われています。恐竜の研究者はどのように考えているのでしょうか?
現在の爬虫類や鳥類の色を参考に推定しています。基本的に動物は目立たない方が獲物からも外敵からも見つかりにくいため、くすんだ茶色や緑、グレーや黒といった色で復元されることが多いです。フクイラプトルの模型は比較的明るい色になっていますが、環境復元ジオラマに見られるように地面が赤茶けているような土地では、こうした色も比較的目立たなかったのではと考えられます。また、現生鳥類でも派手な配色のものがいますので、異性へのアピールや他者への威嚇のためにあえて目立っていた可能性も捨てきれません。「絶対にこんな色の恐竜はいない」とは言えませんが、自然界では目立つことは基本的に不利なので、全身が派手な色合いの恐竜はいなかったかもしれません。ただし現代の一部の動物に見られるように、繁殖期に一時的に体の色が変わるといった可能性はあります。尚フクイラプトル、フクイサウルスに羽毛があった証拠は今のところありません。
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研究が進んだことで、フクイラプトル、フクイサウルスの姿形などの考証が、初期から変わった点はありますか?
フクイラプトルの全身復元骨格については、近年になって肘関節の付き方が見直され、手の甲が上を向いた姿勢から横を向いた姿勢に修正された経緯があります。(写真の前肢の形に注目!)。フクイサウルスの場合、頭骨の化石が追加で見つかったことで、頭部の復元が少し変わり、やや細長い面立ちになりました。新たな発見によりそれまでの定説が覆ることもありますが、その繰り返しで真実が解明されていく過程が恐竜研究の醍醐味です。
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フクイラプトルの分類には諸説あるようですが、今後の発見や研究によって位置付けが変わる可能性もありますか?
フクイラプトルを含むメガラプトル類全体の位置付けが現在も議論の的となっており、今後も変わっていく可能性があります。また、フクイラプトルは初期のメガラプトル類なので、今後の調査研究によってその特徴がより多く明らかになれば、メガラプトル類全体の位置付けを明らかにする鍵になる可能性があります。
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タミヤの模型にもある「ベロキラプトル」とフクイラプトルはサイズが違いますが形は似ています。両者は同じ系統の恐竜なのでしょうか?
ベロキラプトルとフクイラプトルは、どちらも肉食恐竜の仲間である獣脚類に分類され、二足歩行や鋭いかぎ爪といった、大まかな特徴は似通っています。一方、獣脚類の中での分類は異なっています。フクイラプトルはメガラプトル類に含まれますが、ベロキラプトルはドロマエオサウルス科という、より鳥類に近い進化したグループに含まれます。
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現代の鳥類は恐竜の子孫と言われていますが、フクイラプトルやフクイサウルス から進化したと考えられるような生物はいるのでしょうか?
鳥類が小型羽毛恐竜の子孫であることはわかっていますが、どの種の羽毛恐竜の子孫かはわかりません。少なくとも、フクイラプトルやフクイサウルスは鳥類へ進化した系統の恐竜ではないため、現在に両者の子孫が生き残っていることはありません。このような恐竜の系統や分類に注目して、現代に至る生物の進化の過程を調べてみるのも面白いでしょう。
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なぜ福井県では恐竜の化石の発掘や研究が盛んなのでしょうか?
福井県の東北部には、恐竜化石がたくさん含まれる手取層群という地層が分布しています。この手取層群はもともと地中深くにありましたが、地殻変動で隆起し、さらに激しい川の流れで削られたことで、地表に化石と共に露出しました。こうした偶然が重なったことで、恐竜化石の発掘が行われるようになりました。また、化石を発掘すればするほど、恐竜や恐竜と共に生きていた動植物の化石が大量に見つかったため、自然と研究施設と研究者も増え、研究が盛んになっていきました。
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恐竜の化石はどのように発掘されるのでしょうか?
発掘現場によって大きく違います。福井県の場合は、ショベルカーなどの重機を使って地層の硬い岩石を掘削し、その岩石の中からハンマーやタガネなども使いながら化石を探します。
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発掘された部分的な骨から、どうやって全身の姿を復元するのでしょうか?見つかっていない部分、解らない部分を再現する際に苦労したり気をつけるポイントは?
最も重要なポイントは、見つかっている骨の特徴から、その恐竜の分類を明らかにすることです。すると、どのような恐竜が近縁種なのかがわかるので、それらを参考に見つかっていない部分の形状を推定し、全身骨格を復元できるようになります。あとは骨格に肉付けをすることになりますが、肉は基本的に化石に残らないため、今生きている動物の近縁種(トリやワニ)を参考に復元していきます。
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図鑑などに恐竜の復元図(絵)がありますが、例えばライオンのたてがみや象の長い鼻、大きな耳などを骨格から想像するのが難しいように、恐竜も骨格だけではわからない部分があると思います。そうした部分はどの様に想像するのでしょうか?
哺乳類の頭部には表情筋と呼ばれる一連の筋肉が発達するため、ゾウのように頭骨の形状と生きている時の姿が大きく異なる場合があります。一方、恐竜をはじめとする爬虫類では表情筋が発達しないため、生きている時の姿に頭骨の形状が素直に現れます。また、体のそれ以外の部分では、哺乳類・爬虫類問わず、骨格からの推定と実際の姿に大きな差は生じません。そのため、恐竜においてはいずれもある程度正確に推定できていると考えられます。ライオンのたてがみのような、毛あるいは羽毛については化石に残りにくいので難しい部分ですが、それでも一部の恐竜では羽毛の印象化石が見つかっているので、それらを参考に推定することが可能です。
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一般の方は恐竜の骨格を見ると映画の中のような非日常的なイメージを抱きますが、研究者は恐竜の骨を発見したら真っ先に考えることは何でしょうか?
発見した骨化石がどういった種の恐竜の、どの部位に当たる骨かということです。また、化石を安全に持ち帰って研究しなければいけないため、脆い部分がないか、補強が必要か、周囲に欠けて落ちている部分は無いかなどをまず気をつけます。
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模型のフクイラプトル、フクイサウルスを見るとき、注目してほしいポイントはありますか?
フクイラプトルでは、体の各部の大きさ比率に注目してもらえればと思います。肉食恐竜は一般的に頭部が大きく、首が短く、前肢に比べて後肢が長くなっています。ただしフクイラプトルは前肢が比較的発達している方なので、手のかぎ爪の鋭さなどにも注目してほしいです。フクイサウルスの顎の先端はクチバシ状になっており、植物を食べるときに役立っていました。鳥類のクチバシと同じ組織でできていたため、表面の質感は皮膚と異なることがわかります。
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別の研究分野のお話だと思いますが、「将来的に恐竜の動きを再現して自走できるロボット」のようなものが作られる…といった可能性はありそうでしょうか?
恐竜の骨格はわかっているため、「恐竜の形をした自走できるロボット」は今でも作ることが可能です。ただ、恐竜の動きは結局見ることができないため、「再現」の答え合わせができません。どんなに研究が進んでも、私たちに作れるのは、「恐竜の形をした動物が行えたかもしれない最も合理的な自走」であり、「恐竜の動きを再現した自走」はまた別です(だからと言って、こういった研究に価値がないというわけではありません)。
2026年8月7日


















