1998年、アメリカでの販売戦略を一手に引き受けるタミヤアメリカより、ある要望がよせらました。
「ハイエンドレースで勝てるマシンをまったく新規に開発してほしい」。
電動RCカーは世界中にファンを持ち、各国でさまざまな形のレースが行われています。特にアメリカはその本場ともいえ、多くのファンやメーカーが参戦。ハイレベルな戦いが毎年くり広げられ、そこで好成績をおさめることが大きなステイタスとなっています。
タミヤもそうしたレースにTA03 などのマシンで参戦、各地で善戦していたものの、ピュアレーサーを次々と投入する他メーカーに対しては多少の遅れをとっていました。
タミヤ本社ではアメリカからの要請を受け、さっそく新シャーシの開発に着手します。担当はTRF(タミヤ・レーシング・ファクトリー)。マシン設計はもちろん、すぐれたドライバーを擁し、世界のレースでも活躍する総合チームです。
■プロトタイプ TRF404X

彼らはまず、マシンの基本となるシャーシレイアウトを、これまでのビッグレースで実績のあった2ベルトダブルデッキタイプに決定し、それを元に細部を暫定的に設計しました。フレームやバルクヘッドなど、ほとんどのパーツはワンオフで製作。これがTRF414シリーズの元祖ともいえるTRF404X です。
TRFスタッフはこのマシンを駆り国内外のレースに参戦。サスアームの長さや最適なホイールベースなど、貴重な基礎データを得ました。これらを設計にフィードバックさせ、さらに高性能かつ扱いやすいマシンとして開発。ハイエンドレースでの過酷な走りに耐えうるポテンシャルは実戦から生み出されたのです。
■TRF414X、アメリカで限定発売

熟成されたマシンは、TRF414X の名でアメリカで発売されました 。
マシンを駆るTRFスタッフたちは国内での発売も視野に入れたレース活動を展開。「24時間耐久ツーリングカーレース」で総合3位、「JMRCA 全日本ツーリングカー選手権」で総合9位を獲得するなど、いきなりトップグループにくいこみポテンシャルの高さを証明します。国内発売の機運も高まり、それに向けての動きも本格化しはじめました。
■ついに国内でも発売、その名はTRF414

1999年末、マシンの国内発売が決定します。その名はTRF414。発売にあたってTRFはマシンにさらなる改良を盛り込みました。それまでアルミ製だったアップライトやハブキャリアを樹脂製に変更しバネ下重量を低減。アッパーデッキもシンメトリー化し、複合コーナーの多い日本のサーキットにあわせた状態で発売したのです。ビスの一本にいたるまでこだわり抜いたそのキットは、それまでのタミヤ製RCとは異なった方向性を持つハイエンドマシンとして、熱心なユーザーに受け入れられました。
このモデルを手にしたユーザーたちは、それぞれのセッティングを施し、JMRCA 全日本ツーリングカー選手権などのビッグレースに参戦。TRFスタッフも各地のレースにワークス体制で参加し、2000年5月には世界のトップドライバーたちがしのぎを削る名物レース「リーディーレース」で、総合2位を獲得するなど、ドライバーの技量とともにマシンのポテンシャルを見せつけます。しかし、スタッフたちはこれで満足せず、マシンの大幅な改良に着手しました。
■TRF414M へと進化

絶えず新しい可能性を探る。それがTRFスタッフたちのスタンスです。彼らはTRF414で数々のレースに参戦し、データを収集。ミリ単位の変更をくりかえしたそのマシンはTRF414M と名付けられました。しかしさらなる改良はむずかしく、決定打がでないまま2000年9月に茨城県谷田部で開催された「IFMAR EPオンロード世界選手権」に突入します。結果はふるわなかったものの、TRF414M のセッティングの幅広さを再確認したTRFスタッフはこう確信しました。
「幅広いセッティングができるという良さを残しながら、さらに鋭く曲がる方向でいこう」。
方向を見据えたTRFは、各地のサーキットでテストランを再開。どこを変更すればどう挙動が変わるか、それを徹底的に煮詰め、マシンにフィードバックします。地道な作業の連続でしたが、ついに高い完成度のTRF414Mを生み出すことに成功したのです。
■TRF414M カスタムパック先行発売

その真価をためすチャンスは予想外に早くめぐってきました。2000年11月に行われるJMRCA主催全日本ツーリングカー選手権。そこに完成したTRF414M を投入し、万全の体制でレースに臨みます。
実は、このときすでにTRF414M は発売されていました。ただし、それはTRF414ユーザーに対して「カスタムパック」という形で必要部品のみを供給するという形。少しでも早く最新マシンに触れてもらい、そのポテンシャルを体感してもらいたいという思いからでした。
エキスパートクラスに出場したTRFスタッフたちは、予選初日からつねに上位をキープ。TRF三浦選手の詰めたセッティングをフィードバックし、合理的かつスピーディーなレースを展開します。コンマ数ミリ単位の微妙なセッティングをどの個体でも再現できるほどの精密な部品精度を持っているTRF414M ならではの作戦が功をそうし、予選最終結果はAメイン4位とBメイン3位。決勝ではアクシデントに見舞われながらも確実な追い上げを見せ、最終的にはAメイン9位、そしてBメイン優勝という成績を叩き出しました。総合入賞にはいま一歩届かなかったものの「トップを走る他マシンの背中が見えた」と語るスタッフたちの顔は、興奮で輝いていました。
■ついにTRF414M シャーシキットが発売

レースとともに絶えず進化しつづけてきたTRF414。その最新型であるTRF414M シャーシキットが、今ここに登場します。
高剛性なカーボン製メインフレームやアルミ製バルクヘッドはTRF414M カスタムパックから引き継がれ、フロントワンウェイ、リヤボールデフをTA04と共通化。より部品の入手を手軽にするとともに高いコストパフォーマンスを実現した、エキスパートドライバー向けキットです。
TRFスタッフたちのレーシングスピリットがこめられたタミヤベルトドライブツーリングカーの最高峰を、ぜひ手にとって確かめてください。